今日も萌えてます

白帯ライト級腐女子のBLまんが感想

『猫とスピカ』

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作家:鳩屋タマさん

大当たりです!満点面白い。

話はー やや気力乏しい、ちょっとイケメンなリーマンが自宅前で座り込む全身黒ずくめの少年を目にします。「...そこ昨日まで猫いたよな ま いいか」とスルー。「...あの猫生きてっかな ペット可なら飼ってたんだけどなー」と猫を気にしていました。
翌日も同じ場所にまだいる少年。寒い中、くしゃみをしながら震えています。「声掛けるだけだ ここで死なれても困るし」と向き合ってみると、その可愛さに”きゅん” そう思った次の瞬間に少年が倒れ...仕方なく連れ帰ります。水を飲ませ「家出なら早く帰った方がいいと思うよ」と諭しますが、少年はきょとんとしています。名前を尋ねても「なまえはないです」と返答。ややこしい奴にかかわってしまったと思いつつ、寒空に追い出すのも気が引けます。風呂を勧めてもきょとん。仕方なく汚れた身体を洗ってやって、レトルトカレーを食べさせます。「すごい!おいしい!何ですかこれ!」カレーに感激。「...カレー食ったことねーのかよ」

変ですよね、もうこの少年が普通でない感がキテますね。

早々と床で丸くなって眠る少年を「...猫みてー」と思います。
翌朝 ”鍵はポストにつっこんで” とメモを残して出勤しますが、帰宅すると少年はまだ居ます。少年が「お礼をしようと思います」と言います。そのお礼と言うのが...「ちゃんと身体で払いますから!」と。早速脱ぎ始めるので「脱ぐな、そういうのは好きな人としないとダメでしょ?」と言うと、「ぼくはあなたが好きです」と即答です。「...あなたはぼくのこときらい?」目を潤ませながら「きらわないで...」と。その顔が超超超絶カワイイんです。この可愛さに敵うわけがありません。となると至りますね。「セ〇クス好き?」と問われて、きょとんとしながら「わかんない...けど恩返しできてますか?」と答えます。少年は初体験のようで、その快楽に目覚めてしまいます。

少年は名前はないのでつけてほしいと言い、安直ですがクロと命名。「あなたは?」と問われ名乗った鴻太。「...ところでクロちゃんはいつ帰んの?」に対して「どこに帰ればいいんでしょう...」 はい、やっかいなことになりましたね。

一か月経っても居座っているクロちゃん。「よくわからん生活に馴染んでいる俺もどうなんだって」鴻太も自覚しています。親しい先輩を自宅に招いて、現状を説明すると「...なるほどねえ 記憶喪失?って俺初めて見たわ とりあえず様子見ってことで置いてあげれば?」と。

ところでクロちゃんは風呂嫌いです。猫っぽいですね(笑)「風呂に入んない奴はベッドに入れてやんないからな」と一喝されます。クロちゃんは「いい子だとセ〇クスしてくれますか?じゃあ入りますお風呂!すごく嫌ですけど!」と泣きながら風呂に入ります。この時は鴻太と一緒に。快楽といえども鴻太じゃなきゃ嫌だと直球で可愛いことを言ってくるクロちゃんに鴻太もほだされていきます。

新妻のように家事をして鴻太の帰りを待つクロちゃん。早く会いたいから帰りが待ち遠しい。テレビの天気予報が激しい雨の恐れがありますと告げているのを耳にして、傘を持って駅に迎えに行く途中、雷にビビッてパニックに、そして道に迷います。怯えてゴミ捨て場のごみにまみれて身を隠しているところを鴻太に発見されますが、もう猫ですね(笑) 

二人で夜道の散歩中に(コンビニに向かっています)やたらと猫が鳴いています。「発情期の猫ってすげー声だすな...」とつぶやく鴻太の傍らでクロちゃんに変化が生じます。「...ムラムラします」と。
コンビニでアイスを選んでいるところに(クロちゃんはアイスが大好き)知らない男が話しかけてきました。そして鴻太には「おじさん すげーマーキングされてんね」と言い残して去っていくのですが、この男は何者でしょうか。

さて、この日からクロちゃんの様子が変です。発情期のようにさかっています。そんなクロちゃんに振り回される鴻太ですが「クリスマスに何か欲しい物考えといて」と言うと、クロちゃんは「僕 ほしいものないですよ 鴻太が早く帰ってきてくれるのがいちばんうれしいです」って、もうどんだけカワイイこと言うのでしょう。

あの謎の男が帰宅途中の鴻太に話かけてきました。「...君 クロの友達?」と問うと「マジで何も聞いてないんだ あの子の正体知りたくない?」と挑発してきます。「直接聞くよ」と躱し帰宅しますが、クロはあの男を知らないと言います。

今夜はお鍋、二人での買い物帰りに、”あの男”の匂いがする猫と出会います。そして...

 

あー、もう、このままでは全部書いてしまう...ここから謎解きになります。終始ラブラブで、可愛さ炸裂のクロちゃんと、寛容な鴻太をずっと見ていたい話しなのですが、この謎部分は書くべきではないのかな?謎を知ったとて断然楽しめる★5越えの名作ですけども、今回はここまでにしておきますね。

これは推せません!

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一年前からまんがを読むことが日課となりました。きっかけはYouTube広告で出会った”めちゃコミック”の 『わたしの幸せな結婚』 です。もうすっかり課金体制が家計に組み込まれ、まさに”めちゃコミック”の思うツボかもしれません。とはいえ無料漫画も多く、イッキ読み数話+毎日一話づつの配信パターンのため、昼12時の更新を楽しみに待っている日々です。

よかった、面白かった、そんなまんがの感想を綴りたいのですが、中には「ちょっとなぁ~⤵」と思う作品もあって、今回はそれについて書きたいと思います。
とはいえ、本当に全くつまらないのであれば、気にも留めずに流していますから、ひっかかる魅力はあるというものです。それと好みもありますからね、私には合わなかっただけです。

現在40話まで毎日無料配信中で、本日で35話に至っています。(めちゃコミックカウントなので連載とは異なると思います。表紙の題は第12話-2となっています)

推す内容ではありませんので、題名は書かずにおきます。

あらすじは めちゃコミックより抜粋します。以下の通りです。
憧れのお兄ちゃんは「ゲイ」だった? 幼い頃に助けてもらった親戚のお兄ちゃんAの家政婦をすることになった主人公K。感動の再会と思っていたのに、売れっ子小説家になったAは、Kのことなど微塵も覚えていないよう...残念に思いつつも気持ちを入れ替え、部屋の掃除をしていると、なんと「ゲイ雑誌」を発見!まさか...とは思いつつも、AはことあるごとにKのカラダを触ってきて...

まず、みんなの評価が高いのです★4.4(MAX★5)
ですが、絵が好みでない点と、登場人物に魅力を感じない点で推せません。年上小説家A(攻)が正直気持ち悪いです。そして年下K(受)がお人よしな平凡すぎる青年という以外に印象を持てません。

Aは売れっ子小説家で、そのライバル的な存在の小説家QがKを奪おうと横恋慕するんですけど、まぁキモい!今日、そのキモさが全開で表現されていたので、もう、これは書こうと思った次第です。
QがKをどのように見ているかを言い表したセリフです。
「男の味を知ってもなお華を失わない”女”こそ愛でる価値がある 俺が欲しいのは目を閉じても離れていても生きる華だ 想像してみよう 赤らむ薔薇色の頬 きつく結ばれた唇 もう何度辿ったか知れない瑞々しい肌を必死に隠そうとする華...緩く吸っただけで敏感に感じ入り 羞恥で流された涙が果てなく俺を煽る...」
って、頭大丈夫?ギャグなのか、コントなのか、本気で言ってたら怖すぎるんだけど...
小説家Aは寡黙なタイプですが、どことなく変態臭が漂っている気がします。
まんがなんでね、無茶な設定でもいいのですが、ちょっとね、共感できるところが少ないです。

無料はあと5話です。続きを課金することはないですね。

『拝啓、兄さん様』

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作家:田倉トヲルさん

一言でいえばブラコンの話なのですが、雰囲気が美しいことと、何気ない情景に切なさを感じたり...ちょっと純文学小説っぽさを感じるストーリーです。

めちゃコミックでのあらすじは以下の通り
豊は、歳の離れた兄・稔が大好きだ。しかし、稔は高校卒業とともに家をはなれたままで、豊たち兄弟の間は、ずっと続いている手紙のやり取りが繋いでいる。ある日届いた手紙には、八年ぶりに見る稔の写真が同封されていた。そして、その夜、稔が家に戻ってきた。稔と過ごす久しぶりの夏。やがて稔への想いが「兄」に対する以上の意味をもちはじめたことに気づいた豊は....

私は同作者の『のみ×しば』が大好きです。

...なのですが、この『拝啓、兄さん様』は全然タイプが違います。『のみ×しば』のノリはありません。

豊は16才です。兄とは8年ぶりの再会ですが、長く会っていない時間があったからこそ、憧れや慕う気持ちがより美化され肥大したのでしょうか?十代半ばの不可思議な錯覚によるものなのでしょうか?
”好き”という感情を向けられた側は、”好かれているがゆえに好きになる” そういうことはよくありますが、それが実の兄弟で、家族を越えた特別なものになり得るかは理解しがたいところです。わかんないんだけど、どーなの?どーなるの?と気になって読み進みました。これが兄妹だったら難度は半減するかと思いますが、この兄の感情がどうなっているのか掴めずにいました。夏風邪で一人寝込む弟に、祭りで買った林檎飴を口移しで与えます。翌日目覚めた弟は夢だったようにも、本当だったような気もします。兄自身「なにやったんだ俺... ”兄”がふっとんでいた 目の前にいたのは弟なのに 自分が信じられない どうすんだよ どうしたら...」と混沌としています。
10年前に書いたタイムカプセル郵便を読むシーンはちょっと切なくて温かく、兄の弟への気持ちと、弟の兄を大好きな気持ちが描かれています。二人ともが曖昧で理解しがたい感情に揺れながら、話しは最後まで進みますが、すごいなと思うのは、その曖昧さを理解させちゃうところです。最後は...この結末は、どうなのかな?ファイナルアンサーなのか、一時的な結論なのかわかりかねますが、幼馴染女子が「バカ兄弟!」と一喝してくれてよかったと思いました。

『僕をしあわせにしてください』

 

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作家:鳩屋タマさん

同作者の『えっちなお尻じゃダメですか?』に続き、早速読みました。年の差BLが得意でいらっしゃるようですね、11歳差です。そして今回も年下(受)は可愛く、年上(攻)の庇護欲がたまりません。

勤め先の倒産と、その後勤めたバイト先の食中毒による営業停止で仕事も金もない、そんな20歳の青年と31歳サラリーマンのBLです。

つまづいたリーマンにぶつかられて転んだ青年、倒れこむもお腹を空かせていたせい。ラーメン二杯をおごってもらいます。青年の名はハジメ、リーマンは大樹。
ハジメの身の上を心配する大樹が「今日帰るとこあんの?」と尋ねます。「ないよ...って言ったら泊めてくれる?」と答えます。そして大樹に持ち帰られるわけですが、出会いの際、ハジメから「遊ばない?」と持ちかけていました。ゲイ申告済みなのですが実は未経験です。誘った手前見栄張ってみたけど...と戸惑います。それを見て「やっぱやめとく? 無理矢理とか好きじゃないし」と言う大樹。そんな大樹に、この人と もうちょっと一緒にいたいと思い、「やめないで...」と事に至ります。はい、男処女喪失です。”初めてって痛いんじゃなかったっけ”と思うも、ハジメ は平気なようです。

初対面から双方互いに好みのタイプで、且つ身体の相性も良いとなれば、もう速攻でつき合っちゃえばいいですやん。それが自然の摂理ってやつ。
お金がなく、住まい(寮)も退去を迫られているハジメに、ずっと居てくれていいという大樹。いろいろ不幸な目にあって、自分を疫病神のように感じていたハジメ は「俺といたら大樹さんも不幸になっちゃうかもしれないんだけど」と言います。それに対する大樹の返答が素敵!「俺といたら幸せになれるんじゃないの.....違うな 俺が幸せにするよ」だって。いいぞ大樹、惚れるわ。その時の笑顔がまたいいのです。
以前の大樹は、どちらかと言えば若い子は苦手だったはずなのに、どうにもハジメ がかわいくて仕方ない状況になります。そして若い子の心変わりを心配するようになろうとは...。ハジメはというと、素直で健気で可愛さが増しています。この子の図々しくないところが本当にかわいいです。大樹は、素直に好き好き言ってくれるハジメ が愛おしくてなりません。二人で住むのに適した部屋への引っ越しを提案し、もーいっそ家買っちゃうか~なんて言い出します。本気度が表れていますね。ハジメ は...嬉しいけど俺でいいの?って思っています。そういう想いをちゃんと口にします。お互いを想い合う気持ちや考えを伝え合います。すばらしい!そういう会話でハッピーエンドです。

『えっちなお尻じゃダメですか?』

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作家:鳩屋タマさん

タイトルのインパクトが強いですが、絵がすごくカワイイんです。おススメに上がっていたので試し読みで拝見しましたら、まぁドストライクに好きな絵でして、速攻課金で読みました。ああ、出会いに感謝です。他作品も読みます。

話は20歳の男子大学生と中年男性のBLです。この大学生、藍之助くん、藍ちゃんと呼ばせていただきますが、見た目が超絶カワイイです。お肌もプルプルで女子顔負け。女子が「抱けるわ」っと、男サイド気分に陥る容姿です。これはBLあるあるです。愛してやまない名作『明日はどっちだ』の主人公きららパターンです。

この藍ちゃんは好奇心からアナニーにハマり、通学電車内で出会い系サイトを見ていたところ痴漢に遭います(もちろん男の)。そこを助けてくれた中年イケオジにスマホ の画面が丸見えだった指摘に加え、そのサイトは盛ってるから慎重にと促されます。使ったことあんのかいってことですね。そして名前と携帯番号のメモを渡されます。出会いはこんな感じで、当初は「何だ あのおっさん」連絡なんか絶対しねーしと思っていたのですが、バイト先のコンビニに来店したイケオジ。再会を喜びます。そしてすぐに”藍ちゃん”呼びする積極性。明るいおじさんです。同僚バイト女子に「今の人かっこよくない?」と言われても「俺男だし」と答えます。その上でバイト女子に言われるんです「藍ちゃんはオスの匂いがしねえ」と。中性的なカワイイ男子なわけです。
その後たびたびコンビニを訪れるイケオジに「俺絶対からかわれてる」と思うのですが、ある日のバイト帰りにイケオジと遭遇します。ゲイの出会い系サイトを見ていた理由を聞かれ、その会話の成り行きでホテルに行きます。そして快楽を知ってしまうも、目覚めるとイケオジの姿はなく、置いていかれたような、ほっとしたような気持ちになります。ただ何となく次があると思ったものの、それから音沙汰なく二週間が過ぎ、気になる藍ちゃん。実は出張中だったと連絡を受け、「今晩空いてる?」のお誘い。”無理って言え”と思う理性に負けて会います。前回、”新しい快楽”を知った藍ちゃんですが、この時は最後までは至っておりませんでした。そして「...こないだの続きする?」と誘われ男処女喪失に至ります。順調です!相思相愛です。

この二人、それぞれがとても可愛くて萌えが止まりません。特におじさんの無邪気さだったり、嫉妬だったりが”きゅん”を発動させます。表情がたまらんのです。必死な顔や姿の愛おしいこと。

大学生の藍ちゃんですが、就活生とのこと。あー、もうこれでわかっちゃいました。イケオジは社長だな...と。読み進めるとご名答、最終面接で社長と学生として向き合うことになります。そこで初めてイケオジの身分を知った藍ちゃん、戸惑いと気まずさからイケオジを避けます。しかしイケオジ頑張ります、エグい件数の留守電です。オニ電が止みません。でもですね、その電話は藍ちゃんを心配してのメッセージばかりです。「...小さい子でもなだめてんのかよ」とつぶやく藍ちゃんですが、その通りなんじゃないかな。中身お子ちゃまですもん。...そうですが、大人にならねばと思う藍ちゃん。

再会すると、もう止まりません。二人の愛は深まります。

イケオジ目線の、出会いの日の回想シーンがあるのですが、電車内で「隣の子めっちゃ可愛い」と見入っている姿がよいです。「...男の子だよな うわ ほっぺぷくぷく マジでかわいい...かわいい がしかし そんな堂々と出会い系見ちゃダメ!」と心の声(笑)。ずっきゅん撃ち込まれ、「...ほんっと最初から可愛かった~~~ 思い出すとふるえる」ってどんだけですか。中年でひとめ惚れです。もはや僥倖ですね。

年の差があります。バツイチで嫁とは死別の過去があるイケオジ。片やおこちゃま大学生。お互いに”自分でいいのか”と引け目を感じているところがあります。それでも、これからもずっと一緒にいたいと思います。ラブラブばく進のハッピーエンドです。

終始あまあまで、ニヤニヤしながら楽しめる作品です。

『木陰の欲望』

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作家:暮田マキネさん

6年前、病気療養という名の厄介払いで田舎町にきた御曹司である鼎と庭師の息子である瑞希、二人は親友です。とにかく瑞希がいい奴で、過去に鼎を庇って大けがを負い、背中には酷い傷跡を残しています。
端正な顔立ちの優等生鼎は女子にモテモテだけど、鼎の関心は瑞希にしかありません。親友として、喘息を抱える鼎の傍にいつもいる瑞希は女子の嫉妬の対象にもなります。そんな瑞希が女子と何気ない会話をしている姿(鼎への告白サポートを頼まれたりも含む)に嫉妬する鼎。なんてゆうか、瑞希が気の毒です。めちゃめちゃいい奴、優しい子なのに... 鼎の内心は重すぎます。「お前の世界の住人が僕一人じゃないことを思い知らされ続けなければならないのか...もう嫌だ 耐えられない それならいっそ このまま全部 奪ってしまうおうか」って、怖い。わがままな坊ちゃんめ!都合よく病気を利用するし、二人は対照的です。

鼎の身体を心配しつつ、それが過保護で、でしゃばり過ぎなのか、構い過ぎなのかと、距離に戸惑いを感じている瑞希。幼馴染の親友をずっと弟みたいに思ってきたという認識でした。年を重ね、高校生となり、身体の成長に心が追いついていかない。優しい瑞希は「気遣ってやれなくてごめん」と言います。それを「そういう優しさが人を惹きつける そして僕をつけ込ませるんだ」と思う鼎。...自覚してますね、怖いです。

鼎の心の屈折は育ちにあります。鼎は御曹司ですが、父親には妾がいて異母兄弟もいます。身体に難ありとされ、家庭内生存競争において敗者のような位置にいて、注がれる確かな愛情を実感し得なかった少年にとって、瑞希の優しさや献身が初めて感じることのできる愛情や安心だったのでしょう。
ところで鼎の異母弟を描いたストーリーがあります。『つむぎくんのさきっぽ』です。

こちらも同パターンで、鼎と同父を持つ煌成も鼎と同種の面倒くささを倒くささを持っています。血のせいか、環境のせいかってどちらも当てはまってますし。

幼い日の瑞希が鼎の境遇に同情して、鼎を守ってやろうと自分に誓いをたててきた想いが切ないです。「絶対に傷つけない 誰にも傷つけさせない そう誓ったのに足枷になっているのは俺自身なのかもしいれない」と瑞希は矛先を自分に向けるタイプです。そこが鼎とは違います。鼎は「どうあがいても お前は僕を捨てる だったら」....って、ここからの鼎は許しがたい行動に出ます。瑞希を騙して呼び出し、縛って自由を奪った上で犯すのです。そして瑞希はこんな目にあっても、自分がどうすべきだったのか、どう答えれば良かったかを考えて、---罰なんだ---と思いますが、鼎を受け入れることをできず二人に距離が生じます。そんな折、鼎がひどい発作を起こして倒れたと聞いた瑞希は鼎の元へ駆け出します。でも鼎が倒れた理由は喘息の発作ではなく”食べない、寝ない”ためであり、実は喘息はもうほとんど心配いらないまでに快復していたのでした。だから「...もうお守りは必要ない お前がいなくても平気だよ」と告げます。その頬には涙がつたっていて、その姿に瑞希は何を想うのか...
瑞希も涙します。「何でお前が泣くんだよ 僕のものにならないなら ちゃんと捨てろよ...」鼎が言った幼い日を回想しています。そう、鼎の瑞希 への想いは一貫しています。お前がいなくても平気だよの言葉の裏側にあるかつての言葉が貼りついているのです。鼎を抱きしめて「...やるよ 全部やる」だから「お前は俺が貰ってもいいよな?」と同等ではありますが、これってひとえに瑞希の献身の為せるところではないでしょうか。

だけど最後に明かされるのです。初めて出会った時の瑞希 の鼎への想いが。ここまで全てネタバレで書いておきながら、ここだけ伏せておきますね。
ホントに本当に、この作者の作品は全部好きです。描かれる世界が美しく感じられます。

『恋する教師はお帰りください』

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作家:文川じみさん

BLまんが初心者ゆえに知らない作者ばかりです。今回の作者さんもたくさんの作品があるようですが関連やおススメで知りました。

まず絵が好み、これは重要です。
ボーイズラブは、なんだかコントのようで、笑いながら読めるものが多いように思うのですが、今回もそう。フラれてもグイグイいきますよ的なキャラが出てくるものは大抵オチも予想がつきますが予定調和の安心感でそれも良しです。

この話、高校の養護保健の教師と体育教師のBLですが、タイトルの意味するところは、養護保健の教師が体育教師に「帰れ」と言っています。
どちらもゲイで、養護保健教師が受、体育教師が攻、なのですが、本来この保健教師は年下のカワイイ系男子が好みであり、たくましい体育教師とはなりゆきで関係を持ったものの不本意で、身体の相性が良いためにズルズルと関係が続いていたのですが、それを一人の男子生徒に気付かれてしまいます。そして「俺 せんせーのことちょっといいなって思ってたんすよね 俺にもヤらせてよ」と襲われます。そこへ体育教師が助けに入るのですが、未遂とあって大事にはしないとするも、この出来事で二人の関係が心もラブなものに変わっていくんだろうって内容で、単純に面白かったです。

BLまんがに限らずですが、”保健室で”ってシチュエーションが結構あります。実際にはそんなことはまぁ、ありえないのでしょうが、あるならば気持ち悪い...まして先生が使っちゃいけませんよ。そして最近はBLまんがばかり読んでいるため錯覚してしまいそうですが、そんなにそこら中でボーイズラブが勃発しているとは思い難いのですがどうなのでしょう?私自身はリアルではボーイズカップルを一組しか知りません。男子校は未知だからなんともわかりませんが、キレイな男の子も多いことだし、男だから女だからという概念も廃れつつある昨今、恋愛における性別の壁は低くなっている...ということは確かなように思えます。