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白帯ライト級腐女子のBLまんが感想

『拝啓、兄さん様』

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作家:田倉トヲルさん

一言でいえばブラコンの話なのですが、雰囲気が美しいことと、何気ない情景に切なさを感じたり...ちょっと純文学小説っぽさを感じるストーリーです。

めちゃコミックでのあらすじは以下の通り
豊は、歳の離れた兄・稔が大好きだ。しかし、稔は高校卒業とともに家をはなれたままで、豊たち兄弟の間は、ずっと続いている手紙のやり取りが繋いでいる。ある日届いた手紙には、八年ぶりに見る稔の写真が同封されていた。そして、その夜、稔が家に戻ってきた。稔と過ごす久しぶりの夏。やがて稔への想いが「兄」に対する以上の意味をもちはじめたことに気づいた豊は....

私は同作者の『のみ×しば』が大好きです。

...なのですが、この『拝啓、兄さん様』は全然タイプが違います。『のみ×しば』のノリはありません。

豊は16才です。兄とは8年ぶりの再会ですが、長く会っていない時間があったからこそ、憧れや慕う気持ちがより美化され肥大したのでしょうか?十代半ばの不可思議な錯覚によるものなのでしょうか?
”好き”という感情を向けられた側は、”好かれているがゆえに好きになる” そういうことはよくありますが、それが実の兄弟で、家族を越えた特別なものになり得るかは理解しがたいところです。わかんないんだけど、どーなの?どーなるの?と気になって読み進みました。これが兄妹だったら難度は半減するかと思いますが、この兄の感情がどうなっているのか掴めずにいました。夏風邪で一人寝込む弟に、祭りで買った林檎飴を口移しで与えます。翌日目覚めた弟は夢だったようにも、本当だったような気もします。兄自身「なにやったんだ俺... ”兄”がふっとんでいた 目の前にいたのは弟なのに 自分が信じられない どうすんだよ どうしたら...」と混沌としています。
10年前に書いたタイムカプセル郵便を読むシーンはちょっと切なくて温かく、兄の弟への気持ちと、弟の兄を大好きな気持ちが描かれています。二人ともが曖昧で理解しがたい感情に揺れながら、話しは最後まで進みますが、すごいなと思うのは、その曖昧さを理解させちゃうところです。最後は...この結末は、どうなのかな?ファイナルアンサーなのか、一時的な結論なのかわかりかねますが、幼馴染女子が「バカ兄弟!」と一喝してくれてよかったと思いました。