今日も萌えてます

白帯ライト級腐女子のBLまんが感想

『カバークラック』

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作家:暮田マキネさん

めちゃコミックで配信されている”暮田マキネさん作品”は全て読みました。本当に全部好き!今後の新作配信も楽しみです。

さて、今回の『カバークラック』は指フェチの話です。めちゃコミックでのあらすじは以下の通り。

僕は美しい手に欲情する変態。ゲイのネイリスト・マキは、仕事で立ち寄った店で働く紺野と出会う。どうやら指フェチらしい紺野に、いきなり「美しい」と言われ、恍惚とした表情を向けられる。そんな彼に興味を抱いたマキは、見るだけで満足なのかと迫り、口内を指で嬲り犯してしまうが...

指フェチ紺野くんがピュアにして変態、そこが愛おしい。本人が変態を認識しています。
初対面で指に見惚れ、二度目に会った時も手をガン見。美しい指も持ち主であるマキは「もっと綺麗な人たくさんいるとおもうけどなぁ」というのに対し、「だとしても 僕には蒔田さんが一番です 今まで出会った手の中で一番美しいです」と答えます。賞賛の快感もあって、マキから飲みに誘うのですが、お酒が入ると益々露骨に手に見惚れる紺野くん。この二人、タイプ的にはマキがSで紺野がМです。「見てるだけでいいの? 触ったり、はいらないの?」と半ば強引に紺野くんの口に指を突っ込みます。紺野くんがそれを拒否り、逃げ出すように走りだしたところを捕まえ、そんなに嫌だった?と聞くと、「僕が変だから...あなたに変なことしちゃいそうだからっ」と。こう言われてはマキのSが発動してしまいます。指を口に押し込んでかき回します。紺野くんは涙目。「...やばいわコレ すげぇ興奮する」って、マキは面白いおもちゃを手にしたような感覚だったのではないかと思います。

変態指フェチを自認する紺野くんがなにゆえこうなったのかは子供の頃に遡ります。母に言われるがままのいくつもの習い事。「将来のためよ」という期待。退屈を通り越して苦痛、中でもピアノ教室ではスパルタでヒステリックな先生のレッスン。その先生に「指が短いことを言い訳にしないの 努力しなさい」と指の間を広げられる痛みに耐えながら、---ほっそりと形の良い長い指が僕を嬲り蹂躙する---それはこの上ない悦びだった...と。はい、小学低学年か中学年頃にはすっかり出来上がっております。

指に興奮する紺野くんですから、美しいマキの”指攻撃”にあって性的興奮を免れることはできません。そしてマキはゲイです。紺野くんはノンケでしょうが性別は問題ではないのでしょう。要は指です。

紺野くんの心情は「あなた(母)が望んだ立派な大人にはなれなかった 僕は美しい手に欲情する変態です」...それはもう、どうにもなりません。
そんな紺野くんにハマるマキ。

ネイリストであるマキは人気商売ゆえのストレスもあって、紺野くんが自分の手に魅せられていることが快感であり安心も得ていたのでしょうが、その関心を失う恐れも抱いていました。そんな不安から「もう見せも触らせもしないって言ったらどうする?」と問います。紺野くんは「僕 何かしましたか? 蒔田さんを怒らせるようなこと してたなら...」と困惑します。そんな紺野くんに冷たく「僕が飽きちゃっただけだよ」と告げ、それきりに...。マキは”執着はきっと俺の方が何倍も強くて 捨てられる前に 捨てなければ”そう思っていました。

それきり...から三か月、ネイルサロンにマキを指名で訪れた紺野くん。触れられるその指がたまりません。興奮がバレれば追い出されてしまうと焦ります。その状態を同性ゆえに察知したマキがトイレに案内します。個室に連れ込んで、強引にズボンを下ろし、「こうなっちゃうの予測できたでしょ」と。
マキに「自分よりいい指が見つからなくて会いにきたのか」と言われ、「違う、会いたくて...」と泣きながら言う紺野くんが可愛いく、いじらしい。
この、個室トイレ内でのやりとりが、はたから見れば滑稽すぎるのに、なんか素敵、暮田マキネさんワールドです。美しいと感じさせられてしまいます。

晴れて二人は両想いになります。
---ひしゃげた自尊心の もてあます性癖の 受け皿はどうしたって 君じゃなきゃダメだったんだ---

年齢や性別関係なく、ただただ唯一無二に感じられる恋愛ストーリーが超大好きなワタシ。この話もグッとくるものがあり、何度でも読み返したくなります。