今日も萌えてます

白帯ライト級腐女子のBLまんが感想

『つむぎくんのさきっぽ』

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作家:暮田マキネさん

さきっぽとはなんぞや?それは乳首です。エロい乳首ではなく、母親が子供に与えるソレ的な乳首なのですが、同級幼馴染でありながら、御曹司と使用人という立場で、幼い頃に同情から差し出された少年(使用人)のおっぱいを吸うことで孤独な少年(御曹司)が救われていたところが起点となります。この作者の描く世界観がとても美しく、どんな設定でも入り込んでしまいます。脇役の双子姉弟もいい感じで、4者のそれぞれの思いやりに”じん”ときます。

「煌成(御曹司)の父親である宇喜多家の当主には当時から複数の愛人がいた 一つ屋根の下に本妻のこども達と愛人のこども達を同居させる当主の奇行で屋敷は常に混沌としていて まだ甘えたい盛りの煌成に関心を示す家族は誰一人としていなかった」という事情。「煌成の孤独は深く痛ましく どうにかしなければ彼が消えてしまう気がした」という同情。「つむぎがこーちゃんのお母さんになってあげる」と差し出されたおっぱい。それが高校生になっても続いています。

煌成くんは超優秀ながら、感情を出しません。でもつむぎくんのさきっぽを求めています。ああ、カオス。優しいつむぎくんが抱える事情は、親を失い、屋敷の使用人として勤めていた祖母のもとに身を寄せていましたが、中学生の頃、祖母が亡くなり、屋敷で暮らしていけなくなります。双子姉弟がつむぎくんを想って泣くシーンにもらい泣き。対照的に、無表情ながらも、なんとかつむぎを繋ぎ留めたい煌成くんは、裏で父親に条件を持ち掛け、つむぎくんを留めて置けるよう頑張ります。 
亡き祖母の言葉「身の丈に合わない願いは お前だけでなく坊ちゃまも苦しめるのだということ 忘れないでね」 だから何も求めない 何も期待しない 好きな人を苦しめないために。「僕はただ待っている 彼に手放されるその日を」...ああ、泣ける

その日」が来るのを いつか今かと怯える気持ちは 待ちわびる時のそれによく似ている だから きっと心は 絶望しながら安堵するんだろう
ここ!とても共感しました。
本当の気持ちを言えないことや言わないこと、ありますよね。

煌成くんとつむぎくんの抱える環境における事情は違うにせよお互いに相手を助けたい、守りたいと思う気持ちがあります。

結局、去らねばならなくなったつむぎくん。煌成くんは病んでゆきます。

そして再会

つむぎくんは「二人のことは 二人で考えて」と助言を受けます。答えはそうやって出さなきゃ、二人はいつまでも前に進めないと言われたこともあって、煌成くんと向き合うことになります。そして思いは通じ合います。ハッピーエンドです。よかったぁ。

ちなみにつむぎくんが屋敷を出て行った先が煌成くんの異母兄宅なのですが、この異母兄の話が『木陰の欲望』です。また別の機会に感想を書きます。